【歌川国芳の人生】武者絵と猫が大好き!奇才浮世絵師の人生を徹底解説!

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歌川国芳「宮本武蔵の鯨退治」

歌川国芳(1797年〜1861年)は、江戸時代後期を代表する浮世絵師の一人で、特に勇壮な武者絵、動物画、戯画などで知られています。

特に、国芳の代名詞とも言える力強い武者絵は、浮世絵におけるバロック絵画といっても過言ではありません。

国芳の作品は大胆な構図やユーモラスな表現が特徴で、彼の独自のスタイルは後の時代に影響を与えました。

その生涯は波乱万丈で、庶民の中から天才的な才能を開花させ、様々な挑戦を続けた姿がうかがえます。

ちなみに、2024年12月21日から大阪で、歌川国芳展(大阪中之島美術館)が開催されます。詳細は以下の関連記事をご覧ください。

ほくさいぬ

今回は、歌川派の代表格の一人・国芳を徹底解説していくよ!

目次

幼少期と修行時代

国芳は、江戸日本橋(現在の東京都中央区)で生まれました。

本名は井草芳三郎で、父親は染物師でしたが、国芳は幼い頃から絵に強い興味を持ち、父の職業を継ぐことはありませんでした。

当時、歌川豊国が浮世絵界で高い評価を得ており、12歳になった国芳はその才能を見込まれて初代国豊門下の弟子として迎えられました。

しかし、あまり注目を集めることができず、画壇デビューもままならず、兄弟子の家に居候をしながら生活するという下積み時代が長く続きました。

出世作と成功

通俗水滸傳豪傑百八人之壹人・浪裡白跳張順
出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/

文政10年(1827年)曲亭馬琴という作家が発表した「傾城水滸伝」がきっかけで、江戸中が水滸伝ブームに湧きました。

30歳になった国芳はこのブームに乗っかって、同年に「通俗水滸伝豪傑百八人一個(すいこでんごうけつひゃくはちにんいっこ)」という武者絵シリーズを発表し大好評に。

この作品は、中国の伝説的な英雄譚である『水滸伝』の登場人物たちを描いたもので、迫力のあるダイナミックな構図と力強い描写が話題を呼びました。

この成功により、国芳は一躍人気浮世絵師の仲間入りを果たしました。

風刺画や戯画での挑戦

国芳を物心ともに支えたパトロン・狂歌師の梅谷鶴寿(うめや かくじゅ)のサポートもあり、国芳は武者絵の他にも、風刺画や戯画において強い支持を得ました。

国芳が、得意の武者絵だけでなくあらゆる注文にも対応できたのは、長い模索の時代から常に写生を基本に筆力を鍛えてきたからでしょう。

ほくさいぬ

パトロンってのは、芸術家を金銭的に支えた人のことだよ

幕府との対立

当時の幕府による厳しい検閲制度や、風刺や過激な表現を規制する天保の改革により、浮世絵師たちは表現の工夫を迫られました。

国芳はこうした制約の中でも独創性を発揮し、ユーモアに溢れた作品を積極的に生み出しました。

彼の作品は、単なる美術品ではなく、当時の社会状況や文化を映し出すものでもありました。

しかし国芳はその大胆な風刺によって、幕府の目を引き、何度もトラブルに巻き込まれました。

彼の作品には、直接的な政治批判こそ避けられていたものの、巧みに検閲をすり抜ける表現が散りばめられていたからです。

このため、国芳は時に罰金を科されるなどの困難にも直面しました。

しかし、その創造性と庶民の支持によって、彼は常に新しい表現方法を模索し続けました。

特に、猫や魚を擬人化して登場させる「猫絵」シリーズは、その隠れた風刺性とユーモアが庶民の間で大人気となりました。

猫大好き!「猫絵シリーズ」

器量良しから不細工まで、なべていとおし By 歌川国芳

歌川国芳「猫のすゞみ」
出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/

国吉の猫好きに関しては、多くのエピソードが残っています。

普段から国芳の周りには数匹〜十数匹の猫がたむろしていたそう。

家には猫用の仏壇があり、死んだ猫の戒名を書いた位牌が飾られ、さらには猫用の過去帳まであったとか。

晩年と死

晩年の国芳は、浮世絵の他にも絵画や版画を幅広く手がけ、人気、創作欲ともに頂点に登り詰めましたが、文久元年(1861年)に病にかかり、65歳で亡くなりました。

病気に関して詳しくは伝わっていませんが、中風(ちゅうふう)、現在で言う脳卒中や脳血栓などによる半身不随、片麻痺、言語障害、手足の痺れや麻痺などと言われています。

彼の死後、浮世絵は次の世代の芸術家たちに受け継がれ、特に彼の風刺画や大胆な構図は後世の画家たちに大きな影響を与えました。

今も続く国芳の系譜

国芳の残した仕事は弟子たちによって受け継がれ、明治時代に入ってもなお、月岡芳年を中心とした弟子たちによって様々な形で受け継がれていきました。

現代においては、劇画家や漫画家、デザイナーなどに国芳ファンが多く、海外でも評価が高いです。

それは、単なる異国趣味にとどまらず、より現代的であり普遍的でありつつも独創性に富んでいるからと言えるでしょう。

まとめ

歌川国芳が後世まで残した、ダイナミックかつユーモラスな表現は、現代の漫画やデザインのシーンでも多く活用され、その影響の偉大さがわかる調査でした。

2024年12月21日から大阪で、歌川国芳展(大阪中之島美術館)が開催されます。実物を見ることができる貴重な機会ですので、お近くの方はぜひ!

ほくさいぬ

関西の人がうらやましいよ〜

もっと知りたい人は

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私たちは化政文化にインスパイアされた現代的音楽を制作しています。
ぜひ聞いてくださると嬉しいです。

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この記事を書いた人

化政文化研究家
某芸術大学 日本画専攻卒。日本人らしくありつつ、飾らないのに粋な江戸文化である『化政文化』に魅了され、その魅力を多くの人々に伝えたいと思ってブログを始めました。
普段はジャンルにこだわらず、インタビュー系の動画制作や、動画のテロップ入れなど、映像編集業務全般を担当しています。過去の動画制作数は1000本以上。

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